不動産賃貸業だけでなく、
事業を始めたら確定申告をする必要があります。
これは、税金を正しく計算して納税するだけでなく、
現在の経営状態を把握するというプラスの側面もあります。
いつ開業するか
個人事業主の場合、
事業を営むことによって税金が発生したり、
何か特別な費用が発生することはありませんので、
開業は早ければ早いほど有利です。
なぜなら、
開業していると不動産の調査に掛かったガソリン代や、
不動産書籍の購入費用等を経費で落とせるからです。
また、遅れて開業すると、後述する青色申告特別控除の適用が受けられなくなります。
ですので、
不動産賃貸業をすることに決めたら、
すぐに開業をしてしまいましょう。
開業届を出す
開業をする方法は、
「税務署」に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。
税務上の優遇を受けるために、
「所得税の青色申告承認申請書」も提出しておきましょう(任意)。
国税庁HP
■手続案内
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁HP)
■届出書ダウンロード
個人事業の開業・廃業等届出書(PDFファイル/165KB)
■青色申告承認申請手続の案内
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続(国税庁HP)
■青色申告承認申請書ダウンロード
所得税の青色申告承認申請書(PDFファイル/151KB)
青色申告(あおいろしんこく)とは
青色申告とは、
正規の「複式簿記」による記帳を行い正しく申告する人に
税務上のメリット(所得から65万円を控除できる)が受けられる制度のことです。
複式簿記は、
かつては複雑で難しい処理が必要とされましたが、
現在では通常の会計ソフトで記帳を行うことで自動的に複式簿記の帳簿を付けることができます。
所得から65万円を控除できるというのは、
通常例えば200万円の所得があった場合、
基礎控除等を除けば200万円に対して税金がかかってくるのですが、
青色申告特別控除を引くことで、
200万円-65万円=135万円に対して税金がかかるよ、
という仕組みになります。
つまり、所得を安くすることができるので、税金もそれに応じて安くなるということです。
複雑な計算を抜きにすると、
所得税は最低税率5%、住民税は10%のため、
単純計算で少なくとも所得の15%に税金がかかってきます。
65万円の控除を引けることによって、
65万円×15%=9万7500円
の節税になります。
10年で100万円近い金額になりますので、
ぜひ適用を受けましょう。
会計ソフトは何を使用すべきか
複式簿記を手計算で付けると恐ろしく手間がかかりますが、
会計ソフトを使用することで、
通常の記帳と、決算で僅かな処理をするだけで自動的に決算書までできてしまいます。
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言わずと知れた売上No.1の「弥生会計」です。
わくわく財務会計
ソフトの値段の安さと使い勝手の良さで言えば、
「わくわく財務会計」がお買い得です。
税理士に依頼
確定申告の手続は、
- 決算書作成
- 申告書作成
の二段階にわかれます。
会計ソフトに入力して決算書を作成し、
その決算書の数字を基に確定申告書を作成して税務署に提出します。
「決算書はできたけど、申告の仕方がわからない」
「そもそも会計ソフトの使い方がわからない」
「記帳なんてしてる暇があったら仕事がしたい」
という方は、
税理士に依頼するという方法もあります。
年間の申告は規模や顧問内容にもよりますが、
概算で5万円~20万円程度です。
税理士を探すには、
税理士紹介ネットワークで見積りを出して
比較検討して見て下さい。
税理士に依頼することによって、
- 節税を駆使しながら経営ができる
- 税務処理のミスにより余計な税金を払わずに済む
- 税務代理権限(税理士が申告を代理したという書面)が付与されるので、税務署に信頼してもらえる
というメリットがあります。
基本的に、税務署は「個人の素人が行った税務処理はミスが多い」というスタンスで考えています。
逆に言うと、税理士がチェックすれば大丈夫と考えています。
国税庁の職員(国税専門官)は法律試験で採用された人たちですので、
細かい税法はかなりの勤務歴がないと身につきませんが、
税理士は国家再難関資格の一つである税理士試験の税法科目を5科目パスしていますので、
税法のエキスパートであり、細かい税法の特例なども知り尽くしています。
また、税理士登録は実務経験が2年間必要ですので、
膨大な税務処理をこなしていないと税理士になることはできません。
そいういった観点からも、
税理士に任せて安心して不動産業を営むという戦略も有効です。
個人的には、会計ソフトで自分で記帳し、税理士さんに確定申告をしてもらうのが最も良いと考えています。